もっとやれる、がんばれ、まだ何とかできる…「アメリカの夜」
フランソワ・トリュフォーです。
映画撮影の日常をスケッチ風につづりながら、すべての映画を愛する人々に捧げられたトリュフォーの名作。タイトルの“アメリカの夜”とは、レンズにフィルターをかけて昼間の撮影でも夜のシーンに見せてしまうこと。それは即ち虚構の象徴であり、またそれこそが映画の魅力なのである。アカデミー賞外国語映画賞受賞。
トリュフォーはほんとに映画を愛してるんやなーって。
子供の頃の回想シーンが印象的。
映画を1作品撮る中でいろんな事件、出来事が起こりすぎるくらい起こります。
でも雑多にならず、キャラクター付けがしっかりしてるので
個々の俳優に深みがある。
何回もNG出す哀しい老女優。しかも同じ間違い。
女に依存する俳優。しかも旦那にばらす。弱い。
主演女優の美しさとその真面目さ、誠実さ。
・・・・そして、監督が口に出すメッセージ。
「希望にあふれ撮影を始めるが
難問が続出
やがてなんとか完成をとだけ願う
これではいかんと思う
もっとやれる がんばれ まだ何とかできる
全力で作品を生き返らせようとする
”パメラ”も何とかなりそうだ」
「部屋で台本をよく読め そして良く眠れ
明日は仕事だ 忘れるな
君は立派な俳優だ
私生活の悩みは誰にもある
映画は私生活と違ってよどみなく進む」
人生そのものですね。
映画を撮り続けて、いい人生を過ごしてきたんだな、
とこの作品から伝わってきました。
味わい深い、いい映画です。
★★★★★★★★★ (9)